文キャンアーカイブ

スロープ特集

第一弾の写真特集にはスロープを選んだ。

福澤朗さんのインタビューでも登場したこのスロープはキャンパスの入り口であり、数えきれない人が登り下りを繰り返してきた。

多くの人がその足で少しずつ表面を削ってきた坂は、一種の彫刻であるとも言える。

登っているときにはなかなか気づかないが、ミルクホール前のあたりから見上げるとかなりの大きさの構造物であることが分かる。記念会堂前の大きなスペースの中にただひとつ立ち上がるスロープは特別な存在だと言えるだろう。

かつては床面にテクスチャが施されていたが、大部分がセメントによって覆われてしまっている。テクスチャの名残は31号館真下のスペースに残っており、かつての姿を感じることができる。

スロープはキャンパスのエントランスにおいて大きな存在感を示し、キャンパスの立体感を一瞬で感じさせる。この坂を登ることは大学に入っていくという儀式的体験であり、坂を下ってキャンパスを出るときには一種の解放感をもたらしてくれる。

昼時になれば弁当を広げた学生が両端にずらりと並んで、さながら第二学食の体をなす。

現在、スロープの半分が工事壁に覆われ、非常に手狭な空間になっている。この写真で広々としていたときの姿を思い出していただければ幸いだ。

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2011.10.30

スロープ特集

フェンスで閉ざされたスロープ。文キャンの顔とも言える広々とした姿を集めた。(掲載数:14)