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福澤朗インタビュー 後編

福澤朗さん

早稲田には「食」としての引力もあるし、「街」としての引力もある。決して敷居の高くない街だし、キャンパスだし。去年、斎藤佑樹くんが秋のリーグ戦で優勝したときのパレードで、高田馬場からズラズラ野球部員が全員歩いてきたんですよ。あの警備のユルさにはびっくりした。手を伸ばせばすぐ届いちゃう。大隈通りに着くと2階から紙吹雪がうわーって飛んできたり、「おめでとう!」って歓声があったりして。あの時はマチュアスポーツの良さを感じたね。プロスポーツだと、警備員があれほど手薄な状態で選手と話すことはないから、ありえない光景でしょう。僕が近くまで行って「斎藤君おめでとう」って言ったら、「マジっすか!? なんでいるんですか!?」ってびっくりしてました。あんなことができるのは、アマチュアスポーツだという要因に加えて、早稲田という学校と土地が「オープンスペース」として機能しているからなんだと思う。

先程の卒論の話題でも「オープンスペース」っていう言葉が出ましたが、今の学校って、フェンスでがっちり覆ってる印象があるじゃないですか。でも早稲田は、近所のおじちゃんおばちゃんが近道だからといって勝手に構内をショートカットして通り抜けても、近所の子供たちが遊びに入っても、誰にも文句を言われない雰囲気がきっとあると思うんですよ。勝手に入って勝手に出ていく。これが人を良くするのかもしれないですね。だから勉強したい人は来りゃいいし、なんか居心地悪くなった人は出りゃいいし、また来たくなったら戻ってきたらいいし。来る人を拒まず、去る人を追わず、いつでも寄ってらっしゃいよっていうこと。そして、それを温かく見守る近所の商店街があるっていうこともポイントかな。そういった昔なじみのお店を覗いたときに、「ここのおじちゃんおばちゃん元気なんだ」って、第二のふるさと的な郷愁に浸れる。そんなところが早稲田のよさなのかな、と思います。

プロフィール

福澤朗

福澤朗(ふくざわあきら)

1963年9月14日生まれ。東京都出身。1988年早稲田大学第一文学部卒業し、同年、日本テレビ入社。在局中はアナウンサーとして、数々のヒット番組に出演。また「ジャストミート」「ファイヤー」等の流行語も生み出した。2005年7月 同局チーフ・アナウンサーを経て、フリーアナウンサーに。

interview

2012.1.5

福澤朗インタビュー 後編

福澤朗さんインタビュー後編。キャンパスを取り巻く早稲田の街での思い出も。