文キャンアーカイブ

連載:文キャン前史 第一回

3, 魅力的な仕掛け

 

戸山荘ではその風景を見せるだけでなく、様々な演出がなされました。

ここでは、戸山荘を将軍として初めて訪れた、第11代将軍家斉のエピソードを例に、当時の大名達は戸山荘をどのように楽しんでいたのか、見ていきましょう。

 


宿で遊ぶ武士

 

当時気軽に出歩くことのできなかった将軍や大名にとって、屋敷への訪問は大きな楽しみでした。

神楽坂方面から戸山荘に向かった家斉達は穴八幡神社に立ち寄って放生寺で昼食をとり、その後戸山荘に入りました。

園内では滝での演出や箱根山に登って楽しみましたが、最も凝った演出がなされていたのが小田原宿でした。

 

小田原宿の平面図と店舗構成

 

ここでは街路に沿って町屋が並び、本屋や花屋、弓屋など様々な工夫を凝らした店舗がありました。

茶店や菓子屋では、木で作られた団子や田楽、菓子などが店頭に並べられていたといいます。

しかし、料理屋で生魚を注文すると本物の生魚がでてきたり、一部の店舗では酒肴が振舞われたりと、遊び心溢れる空間だったといいます。


このように戸山荘での「お店屋さんごっこ」は、当時の将軍や大名にとって普段できない体験を提供し、彼らを惹きつけました。

戸山荘の魅力はその風景だけでなく、様々な演出によっても支えられていたのです。

column

2012.9.6

連載:文キャン前史 第一回

この連載では現在の文キャンが、文キャンになる以前の歴史を追って行きます。(1690〜1850年代)